2010.01.06

ヤマニシくんをむりやりに誘い(でも、喜んで来てくれた。誘って2人に断られたこの映画を!)、楳図かずおの映画を観にいく。ああいう性別の種類(笑)の方たちにはわりとよくお見受けする、孤高の年の取り方である。さっとえんぴつを持つと、子どものときの顔というか、ほんとうの顔になる。心の中をどんなに自由にしていても、やっぱり銀行とか不動産とかふつうのおつきあいがあって、ちゃんと大人として対応してらして、しかも常にひとりである。どれだけの憎しみを、怒りを秘めた人生なんだろう。それをどれだけ飲み込んだり絵にぶつけてきたんだろう。すばらしい人だった。
ああいう存在は芸術家であり、海外に誇れる日本の財産なんだから、大事にしようと近隣の人も思ってほしいなと思った。
バーニーズにちょっと寄って、小林さんに新春のあいさつ。小林さんは長いつきあいで、私の中でしっかりとなにかの仲間なんだけど、ふだん会ったりしないし、なかなかお茶もできない。でも、これからもずっと関わっていたい、大好きな人である。そんな人が行きつけの店にいたことが奇跡だと思う。
2010.01.05

チビが不安定で泣いたり笑ったり大騒ぎ。
この年齢なのに、いつも大人に交じって世界のいろいろな国に行き、たくさんの別れを経験しているから、当然だと思う。うちの子に産まれたのがさだめと思ってもらうしかない。
ヒロチンコさんのお誕生日なので、中華でお祝い。深刻な不況だなあというのが一年ぶりのお店に行ってもよくわかる。メニューもサービスもせっぱつまっていた。でもお誕生日に思うことはひとつ、家族に今年も命があってよかった、ということだ。
2010.01.04

風邪をおして、きよみんと中華街デート。
いつも日本にいないのに、なんだかとっても近くて切ない。仲間だなあとしみじみ思う。偏見なく、強く、優しいきよみんであった。
束芋さんの展覧会に行き、強く感動する。モチーフの特殊性に目がいきがちな彼女だが、あの内容をアニメにするというのが精神的にどんなに大変なことか、そこに考えが至った。いつかどこかで彼女は自分の内面といやというほど向き合い、これは残してもいいというものをとことん残したのだろうと思う。決して受けを狙った戦略的なものではない。そう思われがちだが、あんなすごいことはいくら技術があっても「やってみよう」ではできない。ほとんど苦行のようなものだ。技術と自分を試す向き合いもものすごいレベル。
常設展で奈良くんの「アルゼンチンババア」表紙絵を見て、ああ、今はもうでかいこの子どもがまさに生まれそうなときに、恵比寿のそばやで原画を見たなあ…と不思議な気持ちにひたっていたら、学生時代に熱心に読んでくれていたという読者の方に声をかけられた。そんな彼も今は社会人。その人が今生きていることの中に、私の小説がほんの少しでも力になってきたと思うと、なによりもはげみになる。小さい力でもいい、どこかのだれかにあげつづけたい。ちゃんと受け取ってくれる人がたとえ少しでも、いてくれたらいい。
2010.01.03

「結局長年やってきたものが強いな」という言葉を言って終わる初夢を見た。でも小説を書いていた夢ではなく、パンを作っていたような。ううむ。
渋谷でばったりとあっちゃんに会い、そのあとケーキ屋で並ぼうとしたらじゅんちゃんがとなりにいた。こんなことってあるのか?なんだかついてる気がしてきた。
ふじさわさんのおうちに一瞬より、みさきちゃんの赤ちゃんの写真を見せてもらった。はじめて会った時なんて小学生だったのに、もう立派なお母さんだ。
時は流れてる。「身寄りのない外国で育ててるのに、よくやってくれてると思ってる」とふじさわさんが言った。そして「この年まで生きてきたら、もう、持ってるものをなるべく大事に大事にして少しでも長くもたせるしかない」と言った。なんていいことを言うんだろう。おばあちゃんはこの世の宝だと思った。
実家では独身男性ばかりのすばらしい新年会が…でもたけしくんに会えて嬉しかった。ふたりともダメな時期をけっこういっしょに過ごしたからお互いのダメな姿を知り抜いてるので、ほんとうに気を許せる。
石森さんが「さんまの子どもって、イルマ…だっけ」と言ったら、八十過ぎた母が「イマルだよ」ときっぱり。だてに病院でTVを見続けてたわけではないな〜。
2010.01.02

実家でなごむ。ヒロチンコさんとチビは那須のじーじの家へ。
私は私の親孝行。途中で姉と近所の銭湯に行ったりして、夜遅くまでまったりとなごむ。
いつもだとチビがいないと淋しくてしかたないんだけど、今回はなんか「チビからのリハビリ」という感じ。赤ちゃんを脱した証拠だな、と思う。家に帰ってもひとりでワインを飲んだり掃除をしたり、腰をいたわりつつ、静かに過ごした。
経済のことが全くわからない私は「ミレニアム」の人名がむつかしいだけでじわりと挫折。ごろ寝しながらぼんやりと考えたのは「作家って、だいたいの人が飲んだり食べたりばっかりしてるけど、たまにずばりとした意見を言う。それは占い師に似てる。そして破壊的だ。魅力的で明るくて温厚そうに見えても、怒りだしたらまわりをたたきこわすくらいのしつこ〜いなにかをみんなが秘めてる。そういうのが職業的特徴だ」ということだった。
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