2009.08.16

蓮沼さんが実家に蓮を運んでくれたので、ワンラブの蓮が見事に実家におさまり、嬉しかった。花は終わったけれど、大きな葉がたくさんあって、夏の感じがある。しばしドライブなどして、和んだのもよかった。
病院に行くと、母が痛い痛いと言っていてとてもかわいそうだが、どうしてあげることもできないので、姉とステレオで「がんばれ!」「そりゃあ痛いけどしかたない!」とうるさくはげましてすごくいやがられた。それでも笑顔が出るだけ母はえらいと思う。
2009.08.15

アリがキーボードから出てきて気持ち悪い。しかもごきぶりが足元でこぼれた水をちゅうちゅう飲んでいる。ここは屋外か!?
でも、こんなにキーボードを歩いていても、ディスプレイに文字みたいに並んでても、アリが原稿書いてくれることはない!アリが入ってるけどどうですかというのをアップルのコールセンターにも電話しにくい!
私の最大の強み、そして弱みは、文章の大胆な省略だと思う。
頭が悪いからというのもしょっちゅうあるが、まあほとんどは意図的なものだ。比喩の一種と言っても過言ではないし、読む人を選ぶのもそのせいだ。イメージが広がりにくい人には読むことさえできないから、実に危険な技法である。
しかしそれを使うと、映像で読むタイプの人には考える余地が生まれるし、空間にひろがりができるのでそこで憩えるのだ。
そして私がちょっと集中力を欠いて書くと、ほんとうに手抜きになってしまう。
これはほんとうに茶化しているのではなく、私にはとても、春樹先生みたいに、タクシーの中で音楽が鳴って、運転手も変で、なんとなく違和感が生まれて、別次元にスリップしてしまう様子を、あんなふうにじっくりと書くことは一生できない。
私だったら、同じことを十行で書いてしまう、そこがマンガっぽいとか言われるゆえんだろう。
しかし強みはそのまま持っていなくては。だれも他の人にはなれないのだから。
チビを連れて、お墓参り。私もよく小さい頃、父と同じお墓に来たなあ、そしてお墓を今のチビみたいに無心でごしごし磨いたなあ、としみじみする。
下高井戸の市場付近をうろうろして、きらきらでいきのいい刺身を買ったり、お肉を買った。お盆だし、ヒロチンコさんのママをしのんでほうれんそうのバター炒めも作らねば。ママがよく作ってくれたんですって。
お肉を買っていたら、チビ「トイレに行きたいかも」私「駅までがまんできる?」という会話をしただけで、聞いていたお肉やさんのおばちゃんが「今すぐ使っていいよ、その扉の向こうはトイレだよ」と貸してくれた。従業員用のトイレは建物の裏の倉庫のわきにあって決してきれいな場所ではなかったけど、なんだかふたりともハッピーになった。
2009.08.14

さすがに母は痛がって暴れたり、たいへんだったみたいだけれど、病室に行くとしっかりと車いすに座っていた。すごいなあ、人類って。切って、骨をとって、人工関節を入れて、まだ血が出ているのに、もうTVを見て笑っている。82歳なのに!
人類のすごさに感動した。
階段から落ちたり、ロープで頭を打っただけでうっかり死んだり(力石〜!)する人もいるのに、こんなことをしても、しっかり生きている人もいる。人生はもはや自分が決めてどうするものではない、そんな気がしてきた。自分の中心線に自分をいつもきゅうっと集めておくだけしかできない。
今日はアラーキーのポラの写真展をのぞいたが、あれだけ女性が目の前で服を脱いでくれる男性は他にいるだろうか?ギネスに申請できるのではないだろうか。圧倒的な分量にもはや悟りを感じた。ポラでもデジカメでもなんでも、すごいものを撮る人はすごいものを撮るということもよくよくわかった。私がポラでなにを何枚撮っても、あんな写真一枚も出てこなかった。
2009.08.13

母の手術。病室で待っているあいだ、椅子をくっつけてぐうぐう寝ていたら執刀医のホリゲン先生が入っていらして、ものすごく動揺した。手術は成功、ほっとした。
でも先生のお顔や手の疲れ具合が「手術数件やって来た」という感じの独特の集中度を感じさせ、医者って大変だなあと思う。
やがて姉とがんちゃんと父がやってきて、みんなで母を迎える。母は意識もはっきりしていて、痛そうだったが無事でよかった。私も時間ぎりぎりだったし、父も姉もうまく来れるかわからなかったので、最悪のばあい、母が病室に戻って来てもだれもいないということになったわけで、全員がそろったのはほんとうにすてきな偶然だった。
夜はヨッシー(男)とジュディスと出版界に文句を言いながらやけ酒を飲む。といっても飲んでるのは私だけであったが。家族みんなでごちそうになってしまい、ヒーリングも受け、げらげら笑い、おいしいものを食べ、それはそれでいい時間。ヨッシーが「自由がいちばん!電気のついてない暗い部屋に帰るのが最高!」と言っていて、本気だったし、ほんと、そういう人も絶対いるよね、価値観の押しつけはいけないよね!と思い、ものすごくおかしかった。
2009.08.12

英会話、マギさんにみっちりと教えてもらうも、私の文法の力中学生以下。ためしに問題をといてみたら、ほんとうに中学生以下でびっくりした!マギさんの笑顔を見に行ってるだけじゃだめだめ、勉強しなくちゃとしみじみ思う。
そのあと母のところに行く。姉がいないので、ものすごく不安そう。ふだんいっしょに住んでいないので、母のふだんのことをなにもしてあげられないのが悲しいけど、深刻にならないで明るく過ごそうとした。にっこりと笑いあったりする時間もあり、よかった。母に入れる人工関節も見た。母もついにロボ母さんになってしまうのか…。
姉と同時に「いつかお母さんを焼いたら、この部分だけ完璧に出てくるんだろうね」と言いあう。切ないけれど、その過程の全てが人生だ。どうせ焼いてしまうのに、なぜ入れるとは思わない。今日が全てだ。
帰りに根津でニュージーランドのワインを飲みいろいろ食べながらチビと大騒ぎしていたら、かわいいファンの方たちに声をかけられて、うるさくてごめんなさい、と思いました。もと地元にファンがいるなんて幸せだ。
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