2009.11.20

神戸へ。震災後初めて。
しかし、ぎっくり腰なのでそうっとそうっと行く。
島袋さんの展示を、偶然にいあわせた関西のおもろいおっちゃんと見て、ものすごく楽しかった。
「あれはバイトのタコやで」というのも最高だったし、万が一のための非常用のベルもくまなく鳴らしていたし、ヘルメットを落としてトンネルじゅうにすごい音をさせていたし。
奥さんもあきれてたしなめ気味なのになぜか非常ベルに関しては「そうやな、鳴らしてみんとな」と同意していたのもおかしかった。
あの人と見たことで作品のすてきさも倍増したな〜。
島袋さんは魔法使いだな、と思った。自分の考えを糸みたいに寄り合わせて、現実にあらわしていく。
船に乗って、突然の船上パフォーマンスや海の上の作品を楽しみながら、メリケン埠頭のコンテナばかりの展示も見る。クオリティは低いが、とにかく数があるので、チビがもう喜んで喜んで全てを走って回っていた。ななめのカフェがいちばんすばらしかった。
二十年ぶりの懐かしい神戸はほんとうに復興していて、街を愛する人々のいろいろな思いが美しく重なりあって、雰囲気がとてもクリーンだった。それがいちばん嬉しい。懐かしいなあ。震災の写真を見て、こんなことを乗り越えたという重さをじっくりと感じながら、きれいな港を歩いた。
新しいオリエンタルホテルに泊まり、たか〜い鉄板焼き(しかし、おいしすぎた)を食べたり、動けないので部屋でラピュタを観たり夜景を見たりして、静かに過ごしたのもとてもよかった。いっちゃんを含め、気のおけない家族でばりばりと旅行して、のんびりした時間がたまたま来るのって、夢のようにいい感じ。
2009.11.19

朝、ぎっくり腰ゆえにいろいろなことが遅れ、時間ぎりぎりに大神神社にすべりこむ。でも、行ってよかった。あんなきれいな場所はないし、自分がこんなに救われるなんて信じられない。信仰があってよかった。そして今年は…ほんとうにきつい一年だったけど、やりとげた!と神前で言えて、ほんとうによかった。
みんなでお参りをして、稲熊さんにがっちりとご祈祷をお願いし、しっかりと清められ、稲熊家に行ってご家族に会って、みんなででっかいTVでWiiをした。
パパやママがとにかく元気なのが最高だったな、と子供たち(といってもみんなもうでかい)が本気で思うまで、まだ時間がたくさんある家の感じ。泣けるほど懐かしい。
大好きな稲熊家の人たち、みんな健康で長生きしてほしい。
2009.11.18

蓮沼さんに送ってもらい、飴屋さんの「4.48サイコシス」を観る。
ものすごい内容だった。脚本と東池袋が自然にこの内容を、彼の中に極めて身体的に直感的に呼び寄せたのだろうと思う。
ここまですごいともう、いっそすがすがしい。舞台の上の人のメンタリティはほとんど自分と変わらないからこそ「甘えだ」とか「お芝居だし」とか言えない。そして飴屋さんはなにも示唆していない。あの脚本だったら、ちょっといい話にするのも、絶望を人為的にもっと描くのも、いくらでも、どうとでもできたはず。でも、していない。それは海や嵐や山を見ている感じに極めて似ていた。あと蟻とか、動物が産まれるところや、死ぬところを。
あんなに重い内容で暗い舞台なのに、少しもどろりとしたよどみはなかった。霊的ないやなものが寄ってくる気配もない。飴屋さんが清らかで、キレがいいからだ。ZAKさんもそうだ。全くブレがないし、こういうふうにしちゃったら?みたいなところはない。輪郭がぼやけていない。山川さんの天才ぶりに加えて他の全ての役者さんも精一杯すばらしい仕事をしていた。それでも決して救われることはない。救われないことをただ見つめるだけが救いだという重い内容だった。生きているのがすばらしいというわけではなく、自殺がすばらしいのでもない。ただ「命」そのものがすばらしいという気持ちだけはなぜか残るのだ。
終わった後、蓮沼さんと加藤木さんと陽子さんとラーメンを食べながら、なぜかみんながとてもきれいに見えて、幸せだった。それがこの舞台の答えだと思った。
飴屋さんが同じ時代にいてくれてよかった。いなかったら、自分は生きていられなかったかもしれないな、とさえ思った。
2009.11.17

お誘いいただき、ヨンカへ。
ぎっくり腰になりそうでならない感じで、よろよろと向かう。
西川さんのかわいくも男らしい技で、にらまんじゅうのようにぷりぷりになる。
お昼だったので、女社長たちと山田さんと西川さんとごはんまで食べちゃった。働いてる女の人のたいへんさって、自分もものすごくよく知ってるけど、この人たちは、私みたいに投げ出してなくてその上におしゃれで美人のままでいるから、ほんとうにスーパーなことだと思う。この人たちが幸せじゃない社会なんていやだな、とキラキラの笑顔を見ながら思った。
2009.11.16

ミッチェルさんが来日、会ってお話をする。
ちっともいばってないところがすばらしいと思う。そしてあの心の静けさ平穏さ。静かな砂漠や山を見ているような彼のたたずまい。
こういう人の作ったものだから信頼できるなあ、と毎回思う。ピュア・シナジー。少しでももうけようという気持ちが全くないのが、いちばんすごい。
いつでも美しい山や砂漠や夜明けを背負っている感じの彼であった。
実家に寄っていただき、父とも話してもらった。父が活性化されてよかったと思う。
わかまっちゃんも前向きで心が平和だし、そんな平和な会社でやる気のある人がいっしょうけんめい働いている、こんな普通のことが珍しい、嬉しいと感じる今日この頃って、やっぱり変だと思う。
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