2009.10.03
二江のイルカウォッチングに出発。 昨日天候不良で中止になったので、早起きして、今日こそは!とがんばる。 船酔いがいつもひどいので、それを覚悟してブルーな気持ちだったのだが、船が沖に出たとたん、わけのわからない楽しさが襲ってきて、血が騒いだ。こればかりは本能としか言いようがない。この島の船大工の血筋! 今までいろいろなイルカに会ってきたけど、こんなに楽しいイルカウォッチングは初めてだった。イルカがほんとうに人間をこわがらないで楽しそうにしている。この信頼関係を築くのに何代もかかったという。イルカのいやがることはとにかくしないで、共存してきたのだそうだ。そうしたら今、イルカウォッチングがはやって、イルカが経済を助けてくれている。それが手にとるようにわかり、感激した。すぐそばに来てくれるし、目も会うし、向こうもこっちもチビを連れていたりするし。 恵丸の船長さんがものすごい勢いでイルカの群れを追いかけていくので追い込み漁?と初め思ったけれど、どんなスピードで迫っていってもイルカは全然逃げない。そこもよかった。数頭の背中が並んで浮いては沈むあのすてきな眺めがすぐそこにあった。 天草のおばあちゃんはみんなあたりが柔らかく、しなやかな感じの人ばかりで、自分のばあちゃんを思い出した。謙虚な感じとか、控えめな感じとか、しゃべりかたが静かな感じ。 それから猛然とじいちゃんばあちゃんの墓参りにみなをつきあわせて行く。とても景色のいい場所のお墓で、きゅんとした。親の分までなにかをやりとげた感あり。 みんなで亀島を眺めてゆったりしていたら、ああ、ここで自分の先祖は生きていたのだという実感がこみあげてくる。いい場所だった。昔から、急な坂の上に墓があって海が見える映画の数々を見るたびに異様に胸が騒いだのは、DNAだったのか? あのすばらしい五和御領のあたりから次第に町へ出て行かざるをえなくなったじいちゃんは切なかっただろうなと思う。 寿司とちゃんぽんを両方なにがなんでも食べ、空港でもからすみや明太子を(何の関係もない福岡で)買いまくり、帰る。 古浦くんの頼もしい運転、加藤木さんの静かな行動力、いっちゃんとチビのかわいいかけあい、ヒロチンコさんの真摯な協力でたいへんに恵まれた取材になった。父のふるさとの湯につかりながらチビと「しあわせだね〜」と言いあったことも一生の思い出。 天草は特別なところだ。悪かった体調も疲れ果てていた精神状態もすっかり元に戻ったし、いやな人がひとりもいなかった。癒されるという言葉では追いつかないくらい、すばらしいところだった。 あの有名な奴寿司のおじさんさえも、あんなすごい寿司を出すのに気取らずにみんなにみかんを持てるだけあげると箱からごろごろ出してくれた。チビには「シャツを出しな」とシャツいっぱいにみかんを載せてくれた。 ばあちゃんの実家の人たちは、急に家のわきで墓参りをはじめた不審な私たちにいやな顔もせずにオロナミンCをいっぱい抱えてきて、持っていきなさい、と一本ずつくれた。 ほんとうに行ってみてよかったと思う。
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