2009.03.14

せっかく下北で高橋先輩と佐内くんの豪華競演があるのに、私は関西へ…!
つまらないので差し入れだけして、先輩の冴え冴え写真集をじっくりと見る。鈴木親さんといい、佐内くんといい、それから他の写真の人たちみんなといい、ほんとうに面白い人たちだと思う。生きにくく、人気者で、強くて、弱くて、ちっとも義理がたくなく、そこがかっこいい。
これまでにいろいろな人たちに写真を撮られてきた。それぞれのすばらしさがあったし、優しさもあった。
しかし、親さんに撮られるときみたいに「最高にくつろいでいるのに、殺されるかもしれない」ものすごく深い空間にいる感じはあの篠山先生にも感じたことはない。もしかして武士って斬りあう前こういう気持ちがしたのかな、と思った。
2009.03.13

井沢くん、林さん、石原さんとまるで全員「プロフェッショナル」かい!という豪華なメンツで、秘密のマンション寿司での密会を果たす。同世代なので少しも緊張しないよい会だった。死ぬほど仕事ができる人たちにはなにも言わなくても通じる共通項があって、ここにいられてよかったなあ、自分も仕事がんばってきたなあと思った。そしてみんな立派になったなあ、と感無量。
初対面の林さん(電通のとてもとてもえらい人)なんて、普通に考えたら雲の上の人だもんなあ、でも目と目があった瞬間からすっかりため口で「この人には自分の冗談絶対通じる」とお互いに思ったのがわかりました。
2009.03.12

チビが荒れて母の病室でしくしく泣いていたら、母が「見てるだけでなんだかかわいそうになってきちゃって、泣けてきた」ともらい泣きしていてかわいらしかった。それを見たチビもさすがにまずいと思ったのか、突然に機嫌をなおしていた。人間って面白いなあ。
姉も交えて病院の近所で中華を食べようと待ち合わせしいくつかオーダーをしたら、いきなり店長がスーパーに買い出しに行った。なにが足りなかったのだろうね、と小さい声で言っていたのに姉が大声で「ブロッコリーに決まってるよ!だって、こっちの皿のブロッコリー、こんなだもん!」としなびて腐りそうなブロッコリーをつまみあげた。そして店長が買い出しから戻ってからの料理のブロッコリーはほんとうにぷりっとしていたが、ホタテとエビがかなり古くデンジャラスな香りであった。そして「他にお客さんがぜんぜんいないね、お店ってこういうときもあるんだね!」とチビが大声で言ったので、おそろしいおばと甥だと思いながら、ごはんものを頼むのはやめて席を立って、となりの店でおいしいパスタを食べました。
2009.03.11

書店員さんに接していて思うことは、ほとんどの熱心な書店員さんが「これだけ本というものに貢献し、毎日地道にいい仕事をしているのに、裏方すぎる」と感じているという事実だ。これは、そのうち書店員さんの意見が主体の面白い本屋さんが今以上に生まれてくる可能性を示していると思う。書店員さん同士の熱い会話を聞いているとものすごい本オタクで、これからメディアがどう変わっていくにしても、頼もしい。
下北沢の小説第一稿が終わり、これから推敲。かなりゆるく、オチがなく、しかし読みやすい話だけれど、主人公の子がいつになく(?)モテる感じのかわいい見た目の若い人(もちろん読む人は自分なりのイメージで読んでもらっていいのですが、私の中では、かわかみじゅんこさんのマンガの人みたいな感じ)なので、書いていてそのかわいさに癒されて楽しかった。男の気持ち丸わかり!わかってどうする!
でも書いているあいだずっと、彼女のお母さんの目線が自分の役だったので、年をとったなあと思ったことだよ。
2009.03.10

友達だからではない…田口ランディさんの「蝿男」はものすごく面白かった。人生経験が深くないと書けない小説だ。「蝿男」のセックスもすごくリアルだし、「蛙たち」も!確かにものすごいことがあった場所に行くと生理になったり歯が腫れたりするのだ、で、どんなすごいものを見るよりも、いちばんぐっとくるのが人毛のじゅうたんだったりするのも、わかりすぎる。
母が入院している私は「海猫の庭」を読んで、おいおい泣いたら、なにかが癒されていた。でももしかしたら、死ぬほどがんばれば私もいつかこの小説なら書けるかもしれない。
しかしラストの「鍵穴」は私には一生書けないものすごいものだった。昔のランちゃんにも書けなかっただろうと思う。今の彼女だから書けた、この、人間存在の滑稽さそして真の優しさ。しょうもないが誠実に生きている主人公は最終的に様々な愛に包まれ、救われる。その形がすばらしくてまたも号泣した。私の中でこれは特別な小説だった。これまでのランちゃんの小説の中で、個人的にいちばん好きなものだった。そしてこれは女にしか書けない、だからなかなか理解されないのだ、そう思った。こんな抱きとりかたは彼女にしかできない。文体がエンターティンメントなので軽いと誤解されやすいが、彼女の挑んでいるものはいつも尊敬に値する。彼女の血や肉から出た言葉で紡がれているからだ。軽い文体で重いテーマを書くことに関して、天下一品の才能だと思う。
今日はドイツの翻訳者トーマスさんと楽しくお昼ごはん。ちゃんと意図をわかって訳してくれていることが伝わってきて、なにか目に見えないところで仲間だなあと思う。翻訳者にはそれぞれの傾向がある。私は彼を勝手に、英訳のマイケルくんと同じ「ハゴロモーみずうみ型」に分類。そういう男性の訳は繊細で確実なので、信頼できる。よし、ドイツ語圏でももう一回がんばるぞ〜!と希望がわいてきた。
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