2008.03.05

ゲラを見れば見るほど自分の小説のだめさに落ち込む。一人称なのでわざとバカに書いているのは確かなのだが、それにしてもバカ度がすごすぎる。ほんもののバカというような文法の間違いがそこここにちりばめられていて、だれが書いたのだと言いたくなる。チャネリングで書いているとこういうとき損だ。森先生が引退したらゲラを読んで文法の間違いをいいふうに直すバイトをしてもらおう…してくれないと思うけど…!
そんなときに春樹どのが訳した「ティファニーで朝食を」を読んで、ますます落ち込んだけれど、カポーティは特殊な形の(オカマ特有の、ここまでものごとをしっかり見て考えていたら生きていけないでしょ!というタイプの…女だったらもう飯食っておかし食べて友達にぐちって寝ちゃうでしょ、みたいな感じの)うまさなので、意外に動揺しない。訳はすばらしかった。なめらかで、作者に寄り添っていて、真摯だと私は思う。昔感じた、時代と文化のギャップのあまりの大きさに自分のこととして見えなくなり、「読書」として片付けてしまいそうになることがある特有の部分を、今回は全く感じなかった。作者の魂が生々しくせまってきて、苦しいほど切実に読んだ。
そして私が出会ってきた何人ものホリーのことをしみじみ思った。みんな同じくエキセントリックで美しく、瞬間を輝かせ、みんなを恋に誘い、最終的には悲しみに満ちた世界に消えていった。若い頃にはわからなかったこの「朽ちていくものを見ていく」気持ち、今はわかることがつらく、そしてすばらしくもある。
春樹どのの訳だと、主人公が微妙にノンケ寄りになっているのもすてきだった。愛情をもって訳した小説は、命を再度ふきこまれるのだなあ。
ヤマニシくんとどっちがついてないか落ち込み合戦をしながらも、チビと彼が友達みたいにしゃべりながらゲームをしたり絵を描いているのを見るのはとても幸せな時間だ。どんなパーティよりもすてきな景色なのだ。でもチビはプロのヤマニシくんに向かって「げんあん絵がじょうずだね〜」と言っていた…。
さっとロルフィングを受けに行き、首がのびた感じになってやっと体調が元に戻りながら帰宅。あわてておでんとキャベツとたこのバターの煮込みと明太子と梅大根の夕食を作る。最近の私のアイドルはケンタロウさんである。お弁当の本から急に彼の持ち味がぐわっと出てきて、もともと男の料理と言われていた私の料理人生にはとっても参考になる。
2008.03.04

今日でMさんのおそうじが最後であった。四年間も毎日のように会っていた人なので、淋しい…こういうことの連続が人生だ、とわかっていても、やっぱり淋しいものだ。そしてわかっていてもどうにもならない彼女の家庭の事情が理由で辞めることになったので、ますますわりきれない。これまたこういうことの連続が人生なのだということだなあ。
私は下町の育ちなので、十年も二十年も変わらない人間関係はあたりまえ、だれかの子供はいつまでも親の家の近くに住んであたりまえ、その孫ともずっとつきあっていくに決まってる、という環境しか知らない。だからまだこういうめまぐるしさには慣れないのだった。もしかしたら一生慣れないかもしれない。
2008.03.03

ひなまつりで実家へ。石森さん、おおしまさんが来ていてにぎやかだった。姉も風邪をひいて三十八度も熱があるのに、揚げ物をがんがん揚げていて、その料理人魂に感動する。しかもサーモンとチーズとしその春巻きを「この組み合わせは成功だ」と言ってばりばり食べていた。確かに絶妙の組み合わせであった。
表参道の交差点のところの広告がやっと変わっていた。ビルの上にでっかいヴィクトリア・ベッカムさんの写真があって、その向かいのビルの上にエンポリオ・アルマーニ(だったよな)の広告でパンツ一丁でモッコリしているご主人のベッカムさんの写真があって、なんとも言えない感じであった。
私「あのご夫婦を見上げるの、なんとなくいやなんだけれど。この交差点が好きなのに」
ヒロチンコさん「夫婦岩のようなものなのかな〜」
すっごく受けた。
2008.03.02

「獣拳戦隊ゲキレンジャー」が終わってしまって、日曜日の朝、自分の中で火が消えたようなのに終わってからはっと気づいた。子供をなめていない、すばらしい番組だった。最後のほうなんて手に汗握って、涙しながら見ていたのだ。理央さまとメレが結ばれるシーンとか、ジャンとパパのエピソードとか、ほんとうによい仲間がいる人たち特有のドライブ感とか最後の最後のジャンの身の振り方とか、大人が見てもかなりリアルで感動的だった。ああいうのを夢がある番組っていうんだろうな、と思った。大人の都合とか、おもちゃで稼ごうみたいな目先の利益が見え隠れしていないので、嬉しかった。
近所にライブに来た原さんと五分づつ二回会うという変な日だった。夢の中みたいな変な会い方だったので、チビも「原さんには今日二回会ったよね?」と寝る前に確認していた。
夕方からじゅんちゃんが来て、フラを教えてくれた。陽子さんといっしょに「なんとかしてふたりでひとりぶんの実力で上級者クラスに残してくれないかしら」とせんないことをつぶやきあう。
お礼にじゅんちゃんにタイ料理屋さんでごちそうする。
チビはまず美人のじゅんちゃんをとにかくとなりの席にしっかりキープしてさんざん乳を触ったりしてから、最終的にとなりのテーブルのグループの中でいちばんクオリティがタカスの女子をさりげなくナンパして「チビちゃんは、四歳から五歳になったんですよ」「去年は青い服を着ていましたが、今は緑です」「いろいろなDSのソフトを持っています、Wiiもあるんですよ、あ、Wii fitも」「ところでお名前は?」などと言っていた。すばらしい生き様だ。陽子さんの「チビちゃん、うまい!ナンパが上手!」という感嘆の声が店に響き渡っていた。
2008.03.01

まだ風邪がのどのところにいるのがわかる。
ついにいっちゃんも倒れ、今年の風邪戦争はかなりの苦戦である…!
しかし少しあたたかくなってきたので、活気と幸せを感じる。
あたたかいところに引っ越したいわ、とまたも真剣に思っていたが、昨日タクシーの運転手さんとブラジルは気候がいいという話とともに、ちょっと外に出るたびに豹や毒蛇や毒ガエルや毒蟻や毒蜘蛛にいつも気をつけていなくてはいけない話とその対処法の面倒くささをえんえん聞いていたら「日本がいいわ、寒くても」とあっさり気持ちが変わった。ショック療法&へなちょこむきだしだ。
丹羽さんが蓮の植え替えに来てくださり、かろうじて冬をのりこえたメダカを救出。蓮を育てていてほんとうに幸せなのはもちろん花の咲くときと、植え替えで一年間育てたりっぱなれんこんを見るときだ。
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