2008.11.10

チビ「なぜおとなはたおれるまでおさけをのみすぎちゃうの?」
その通りです、という感じでヒロチンコさんは一日中二日酔いに苦しんでいた。移動日で船にも乗るのに、おばかさん、くくく…。
なぜかメガネをどこかになくしていたがみごとに復活してきた古浦くんと、加藤木さんと私とりさっぴで冒険の旅へ。
ガジュマルを求めて森に入ったら、蛇が蛇を飲み込んでいた。おえ〜。
びびって棒を振り回し、加藤木さんにたしなめられる古浦くん。そして「音を出して威嚇すれば逃げるんじゃ」とびしばし音を出すりさっぴ。「この森、『ブレアウィッチプロジェクト』にそっくりだね」といちばん言わないほうがいいいらぬことを必ず言う私。人って(以下略)…。
他の蛇を飲みながらもこちらを威嚇する蛇のあまりのこわさに、かえってじっと観察しながら脇を通り、すばらしいガジュマルを見る。すごい大きさだった。
中江監督もこの島で映画を撮ってこの木を見たそうだし、チャカティカの田中さんもエキストラで出ているっていうし、楽しみだ。
それからピラミッド型のグスクに半分くらい登山して、雨の中なのになんだか気持ちよかった。うっそうとしているのに不吉さがなく、守られてきた場所なのだなと実感。千五百年前の暮らしをしみじみと思う。
宿に帰り、神山さんに見送られて出発。ずっとこの島にいっしょにいたみたいで、別れが淋しかった。シャイだけれど男らしい神山さん、以前は観光課にいらして、今は保育所の所長だそうだ。なんだかかわいいぞ…。そして、ありがとうございました。
許田で買い食いをしたりお土産を買い、こぺんぎん食堂へ。
古浦さんが制限速度をきっちり守って走っていたら、途中りさっぴから「古浦、とろとろ走ってるんじゃねえ!悪いがこっちはスピード出して追い抜くぜ、なんぴとたりとも俺の前を走らせるわけにはいかねえ」(意訳)という電話がかかってきて、追い抜いていったと思ったら、覆面パトカーにスピード違反でつかまっていた。「うさぎとかめ」のようであった。
こぺんぎん食堂は、おじぃがお願いしてくれて、みつえさんが少し早めに貸し切りであけてくださった。感謝!おいしいのでがんがん食べる。
おじぃがさっそうと登場して、チビと市場に行ったと思ったら、島バナナとかおせんべいとかたらし揚げをいっぱいに買って来て「おみやげだ」とくれた。なんていい人なんだろう、忙しいのに…。モテモテなはずだ!ありがとう。
りさっぴは「山羊汁のモツを食べまくり、蛇にも強く、車に乗らせれば常にぶっちぎり」というすばらしい秘書としての称号を皆から得ていた。
それにしても過酷な旅だったのに、楽しく過ごすことができて、ほっとした。
そしてしっかり守ってくれたかっちゃん、いつもポジティブでパワフルなベイリーくん、いつも全体の様子を見てやるべきことをこつこつやってくれた加藤木さん、お茶目で賢くてよく食べる古浦くん、いつもチビを見ていてくれたいっちゃん、今回の取材を成功させてくれて、ありがとう。つぶれる前のヒロチンコさんもありがとう(笑)。
いい小説を書きます!
2008.11.09

雨!
雨でも負けずに、神山さんが案内してくださったので、島中を見ることができた。絶対ここは案内してもらわないとわからんというような、御嶽にも森を分けいって行った。
小高い小さな山がいっぱいあるのもこの島の特徴で、登るとすばらしい景色が見える。
午後一番に長嶺さんとお別れ、淋しいよ〜と船を見送る。不思議な縁でいっしょに島に来ることができて、嬉しかった。編集を辞めて二度と会えない人もたくさんいるのに、長嶺さんとはまた会えている、この嬉しさ。
レストハウスかみやまにて山羊汁を食べた後で、山羊に草をあげにいった。ご、ごめんなさい…。山羊汁、私は汁はおいしくいただきモツは食べることができず、りさっぴは肉は全部ぺろりで汁をちょっと残し、古浦くんは完食!人とはわからないものだな〜と感心する。
夜はバーベキュー。神山夫妻のまるで太鼓を叩くようなすばらしいコンビネーションに手出しもかなわず次々と肉が焼かれ、焼きそばができ、ぐるくんのホイル焼きができ、パンが焼かれていくのを眺めた…。おいしかった。プロパンガスそしてコンロ。バーベキューというよりは、もう店。
屋根のあるテラスでやっていたので、雨が降って来ても大丈夫。宿の子供たちもやってきてチビも仲良くなり、お泊まり保育みたいな大騒ぎ。いっちゃんがこまめに面倒を見てくれて、保育園のようであった。
古浦くんとヒロチンコさんがモテたいと叫んで一気に酒に飲まれたので、女子たちは彼らを放っておいて寝ることにする。モテることができるなら、どうぞ…という感じで。ヒロチンコさんにいたっては大暴れしてうるさいし、チビが起きたらかわいそうだから、と女子にかつがれ別室に追いやられて鍵を閉められていた。まるでゾンビが生前の習慣をくりかえしてしまうように夜明けに何回かやってきたが、チビが大の字で寝ていてベッドがいっぱいだったので、無視して寝た。そして深夜まで古浦くんが廊下を徘徊していて、ほんとうにゾンビのようであった。は虫類脳だけで動いているっていう感じだ…いや、うちのカメのチビちゃんのほうが、もうちょっとしっかりしてる気さえ…。
2008.11.08

ベイリーくんと涙の別れ、ずっといっしょにいて頼もしかったので、すごく淋しかった。太陽のような存在であった。
長嶺夫人をむりやり巻き込み、ヒロチンコさんをピックアップして、伊是名島へ。
ブラジル食堂に寄っていく。おばあちゃんが半引退して微妙に味が落ちていたが、きっと落ち着けば戻るだろう。あのいい雰囲気は変わらない。おいしいコーヒーも健在だ!
船の座敷でぐうぐう寝て行く。
目が覚めたらもう港で、ぼくねんさんが迎えにいらしていたのでびっくりした。港が似合いすぎるかっこよさ。
複雑な法事があり、伊是名に帰っているとのこと。そのお話をちょっと聞くが、あまりにも複雑そうで、絶対嫁には来られないと思った…。でも、ぼくねんさんはこの島にまつわる行事の全てに参加したり、法事にもしっかりと出席していて、ほんとうにえらい。島のスーパースターのような感じかと思ったら「そんなんじゃないよ、だって、もともとここにいたからさ、み〜んな知り合いだし、気楽だよ」とおっしゃっていた。その言い方の少年っぽさが、むちゃくちゃモテそうだった。
神山さんもいらしていて、さくっと島中を案内していただく。
神山さんの奥様(美人…)がケーキを作っている、おいしいケーキ屋さん「菓子の島」にも行く。耐えきれずシュークリームをむさぼる私たち。
なんともいいところで、全く観光の匂いがしない。ビーチなんか天国のようだった。後から作った観光名所と元々の自然が入り交じって、逆にほのぼのしている。ぼくねんさんの絵に何回も出てくる遠近の取り方、技術なのかと思っていたら、そうではなかった。この島にしかないほんとうの景色なのだった。
長嶺さんが合間に沖縄のいろいろなことを教えてくれるので、すごく勉強になった。沖縄に来て数年で、こんなに豊富な知識を得ているなんて、さすが編集者だと思った。店を基地にして、どんどん情報を深めていっているんだな。ご主人のてっちゃんに「おいでよ」と言ったら、「でも、店にだれか知ってる人がきて、僕がいないと悪いから」と普通に言った、その気持ちにうたれた。
きくや旅館でおいしい晩ご飯を食べながら、ぼくねんさん、神山さんを交えて宴会。伊是名島のこわい話やワイルドな話をがんがん聞いて、もう何年もいるような気分になった。
2008.11.07

ベイリーくんの大切な店、タコスの「メキシコ」にお昼を食べに行く。
考えられないくらいおいしかった。メニューはひとつだけ、そして静かに満席。こだわりのタコスであった。
それからみんなでぎゃあぎゃあ言いながら足裏マッサージを受け、顔色がよくなったり、足のむくみが取れたりしながらも、琉球大へ向かう。
公開対談は、ベイリーくんのすばらしいリードで全然問題なく進んだ。ひとりでしゃべれと言われると言うことが特にないが、こういう形でならなんとかできる。学生さんたちが教室いっぱいで、みんな快活ではきはきしていて、さすが沖縄だと思った。質問もいっぱい出たし、みんな真剣に生きている。この学生さんたちの将来に幸あれと思わずにいられないかわいさだった。
ベイリーくんが最後にものすごいヨーヨーの技を次々披露し、拍手喝采のうちに対談は終わった。こんなことまでできるなんて!ロレックス万歳!
私も、これまでに彼から聞いたことのない会社の話や、時計の会社を支えているのは結局広告とか営業とか販売ではなくって、技術者たちだということがわかり、感動した。
琉球大の人たちに「月桃庵」でごちそうになる。
かわいいおじょうさんたちがていねいに作っているおいしいお店。
学長「おまねきして申し訳ないが、よしもとさんの作品を一冊も読んでいないんです」
副学長「私は、一度飛行機の待ち時間が十時間もあって、英語版を買って空港で読んだのですが、全くおぼえていませんのですよ〜」
ふたりとも笑顔でおっしゃるので、どちらをより責めたらいいのか、ちっともわからない!
しかしこの状況で私たちを呼んでくれた山里かっちゃんの苦労がしのばれ、彼の学生思いの心を思うと、しみじみと感激。いい先生ってまだまだいるんだなあと思う。私が名声よりも常に読者に寄っているように、かっちゃんも学生さんたちに寄り添っているんだなあ。
学長の家に貯蔵されている六百リットルだという古酒、実は六十の間違いではないか?だって六百って、そりゃあ酒蔵だよ?とみなで内心疑惑を持ちながら、おいしくいただく。学長が瓶に入れて持って来てくださったのだった。二十七年もので、さすがにおいしかった〜、ごちそうさまでした。
あまりに満腹になったので、ホテルに帰り、なごりおしいのでベイリーくんおつかれさまの乾杯をする。いろいろしゃべればしゃべるほど、すごい人物だ。
そう信じない人がたくさんいるのはわかっている、しかし、私は成功とは結局表裏ない人にもたらされると思っている。人間はみな思っていることを隠して生きている。でも、隠すことにエネルギーを注がない、同胞に愛情を持っている人のほうが、まっすぐな道を歩める。私はそういう派。ベイリーくんもそうだし、私の仲間はみんなそうなので、よかったと思う。
裏道はもうかりそうだが、大変そうだ。
2008.11.06

沖縄へ!
ベイリーくんといっしょの仕事なので、全然こわくない。
空港で古浦くんと加藤木さんと待ち合わせて、こちらはりさっぴといっちゃんとチビを連れて、出発。
夕方にはもう那覇であった。山里かっちゃんが待っていてくれた。初めて会ったときから、年上なのに、えらい人なのに、友達みたいな感じの人だった。きっと間にゲイリー・スナイダーさんがいるからだろうと思う。
みんなで「カラカラとちぶぐゎー」に行く。元副担当の林さんが結婚して長嶺さんになって、ご主人とやっているお店。おじぃが待っていた!嬉しかった〜。
しかし時間ぎりぎりだったので、嬉しさを保留して、おじぃが電話中に、私の要望で長嶺さんにむりやり歩いて案内してもらい、かけこみでかよちゃんの店へ。
かよちゃんは孔雀茶屋でいっしょに働いていた仲間だが、数年前、ご主人の正一さんといっしょに那覇に移住してお店を始めた。昔から自分の靴を作りたいと言っていた正一さんが創ったサンダルは、全て沖縄の材料が使われていて、シンプルで美しく、そして足に吸いつくような履き心地だった。eyefingerというそのお店、リンクしたので、ぜひ行ってみてください。この手間と材料と履き心地で一万五千円は安すぎる!
後輩の店をのぞいてみるべ、くらいの気持ちで行った私は、そのクオリティの高さに打ちのめされてしまった。根性が違う!やるからにはやる人たちだった、いつもかなわなかった、そう言えばそうだった。
かよちゃんは私にいろんなことを教えてくれた。根性がなく甘えん坊ですぐあわてる私に比べて、かよちゃんは年下なのにいつも落ち着いていた。そして当時から二十二年間も正一さんといっしょにいるのだ。すばらしい人たちだ。
サンダルを買いまくり、店に戻り、「うない」の編集もしている長嶺さんにインタビューを受け、おじぃが写真を撮ってくれた。おじぃがいるといつでも安心だ。
それからはベイリーくんのものすごいおやじだじゃれの独演会を聞いて、みんなげらげら笑い、幸せになった。ベイリーくんのすばらしさには、何回も驚く。人が「こうだろう」と決めた着地点をいつでもいい意味で裏切り続け、すごいエネルギー。やはり会社の社長というのはこうでないとなれないのだな。チビもベイリーくんが好きでしかたない。いつもつきまとっている。
やがて仕事を終えたかよちゃんたちがやってきて、カウンターでごはんを食べ始めたので、たまにそっちにも行きながら幸せな時間を過ごした。しかしここでも根性が違う彼らは、あっという間に泡盛のボトルを二本あけ(泡盛だよ!)、すっごく陽気になって帰っていった。
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