「海のふた」パーティでのスピーチ(2004.6/14)

 はじめにベイリーさんにお礼を申し上げます。
 この小説はベイリーさんの「よしもとさんと睦稔さんのコラボレーションが見たい」という混じりけのないまっすぐな熱意にうたれて魔法のようにできたものです。そして私にとっても大切な本になりました。ベイリーさんほんとうにありがとう。

 睦稔さんはきっと幼いときから、あたりまえのように自然と共に暮らしながらも、決してその目に映るものを慣れとか繰り返しにしない力を持った人です。睦稔さんの絵によって、この小説は私だけの小さい世界から、大きな世の中にこぎだしてゆける力強いものに変わってゆきました。お互いに自分にないものと共通のものを出し合って、幸せな化学反応が起きました。睦稔さんありがとう!

 そしてほんとうは一人一人この段の上でご紹介してしっかりとお礼を言いたいのですが・・・尾崎さん、新飯田さん、佐藤健さん、中島さん、よしもと事務所のスタッフのみなさん、ありがとうございました。みなさんに大切に扱われたことで、この小説はますます幸せなものへと成長していきました。

 幼い頃から家族と通い続けた西伊豆の土肥が私にこの小説を書かせてくれました。冒頭に主人公のまりちゃんが奄美に行きますが、この奄美のかき氷屋さんは実在します。そして私もまた、奄美の自然にうたれながらも自分の心のふるさとは土肥だということを再確認しました。これからも身近な風景の大切さを書いていきたいです。

 さて、私の人生も小説も常に原マスミさんの音楽と共に歩んできました。
 タイトルにもなり、引用もされている「海のふた」という曲のメロディーはこの小説を書いているあいだじゅう頭の中にずっと流れていました。
 私はこの歌に副主人公のはじめちゃんの悲しみを重ね合わせました。そしてその悲しみはこの小説の背骨になりました。原さんには私を含めて熱狂的なファンがたくさんいますが、その秘密は原さんの独特な声と世界の中に、人は飾りをとりはらって深く沈み、癒されるからだと思います。生きていくということはとても悲しいけれど美しいことだとわからせてくれるからだろうと思います。
 すばらしい音楽をいつもありがとう!
 原マスミさんです。

 (ここで原さんが登場し、『海のふた』を歌ってくれました)


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