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結婚式のお礼参りに奈良に行きました。 やっぱり神(のようなもの)はいるなあ、と正式参拝して思う。自然の力、巨大な存在。思いこみではなく、すごい力が目の前にやってくる。これが素朴な信仰の力なのだろう。 神前でとてもいい時間を過ごした。ここで結婚式してよかったな、と心から思った。 ところが、その後、神とはなんの関係もなくすごい事件が起こる。 これはここでしか書かないかもしれないし、もしかしたら機会を改めてどこかで書くかもしれない。二度読みになる人はごめんなさい。 さて、私にはちっぽけな入れ墨が二カ所あります。今まで、世界中のいろいろな風呂に行きました。もちろんどこも入れ墨はお断りと書いてあります。もちろんお断りと明示してあるところに入れ墨で行く私が悪いのです。なので注意されなければそのままで、注意されたらそこにバンドエイドを貼る、もしくはいっしょに行った人と自分の身分証明書で職業を証明し、人に迷惑をかけないことを約束する、それで今までどこでもクリアしてきました。 お金を受け取らない代わりに実名で書いてもいいとそこの人が言ったので、書きますが(なんでですます調になってるんだろ?)、奈良県の「虹の湯」というスーパー銭湯みたいなところに、総勢六名で行きました。 入り口には桜吹雪が全身に入っている人の絵が描いてあり「フェイクタトゥー、入れ墨、全てお断り」と書いてありました。私はその時にバンドエイドを貼ればよかったのですが、長旅で疲れていたこともあり、そのまま脱衣所に向かいました。 私が連れの女の子三人と共にすっぱだかになったとき、そこの湯の、制服を着た若い娘さんがつかつかやってきて「入れ墨はお断りなので出ていってください」と言いました。「それでは何かで隠します」と言ったら、「だめです、出てください」と言います。「気づいた時点で退場していただきます」と。 いくら話してもらちがあかなかったので「むかつく!」と言い残して私はそこを出ました。裸でいる人をちゃんと話もしないで公衆の面前で追いつめ、追い出そうとするその鬼の首をとったような態度の若い娘さんに腹がたったので下品な言葉をそう言い放ったのは事実です。 「もうここに入りたくないからいいや」と思いつつ、総勢六人で行ったのにひとりだけ私は変な待合所で一時間じっと待つことになりました。 ものすごく立派なぴかぴかの建物ですが、もうそれも空々しく感じられた。 そうしたらその娘さんと他の職員らしき若い男の子がやってきて、六百円をつまんで「入らなかったのでお返しします」とか言いにきたではないですか。 私は言いました。かなりのどなり声で、かつ冷静に。 「それは受け取れません。入れ墨をしているのに知人に連れられてここに来てしまったのは悪いと思いますが、ちゃんと人目につかないように隠すと申し上げているし、身分と職業を証明するものも持っていますし、人に迷惑をかけないことを約束できると申し上げていますし、それでも他の人が入っているあいだここで待っていろというのは、こうなると単なるいじめか差別にしか思えません、東京からわざわざ来た、やくざでもなんでもない人が、小さな入れ墨をちゃんと隠すと言っているのに裸で追い出すのが客商売ですか?そのお金は私の気持ちです。もちろん私の考えに過ぎないので、自分が正しいとは言いません、ただ、このやり方はおかしいと思います。客商売の意味を知ってください。」 すると、もう少しえらそうなおじさんがやってきました。 そしてお金を受け取ってくれないと困る、と言います。 私は言いました。 「もしも、全身入れ墨の人が、全身にサロンパスを貼ってきたら、入れてあげるんですか?」 答えはこれです。 「私どもが気づきさえしなければいいのです。」 なんですかこれは? 「あなたさまの場合は、もう入れ墨が入っていると気づいてしまったので、どう隠してもだめなのです。」 なんですかそれは?何様ですか?おじさんたちは。 もちろんお金は受け取りませんでした。 私は、にせの癒しを売っている、そういう場所が大嫌いです。 私は確かに入れ墨をしていますが、それは二カ所ともバンドエイドひとつで隠れる大きさです。奈良県のためにいろいろな仕事をしてきた私は、裸で脱衣所から追い出されて大勢で行ったのにひとりで待たなくてはいけないという言われは何一つないと思います。 せめて事情を聞いてほしかったです。 今、私の知人が痴話けんかに巻き込まれて(女性を殴っている男を止めた)拘置されていますが、それというのも彼が言葉の通じないイギリス人だからです。日本人である彼の妻が尽力してなんとかなりましたが、そうでなければ弁護士のリストもなかなかもらえないそうです。もし彼と妻の二人が入籍していなければ、もっと大変だったでしょう。 ちょっとだけ、その彼の気持ちがわかりました・・・。 というわけで、私は個人的に、「虹の湯」ははやくつぶれるといいな、と小さな呪いをかけています。もちろん入れ墨をして銭湯に行った私はあほでした。以後は必ずバンドエイドを貼ります。しかし、やっぱりあの人たちは狂っていると思います。客商売なのに、誰一人私を納得させる理屈を言えなかったからです。 ああ、腹立つ。 でも、その後はくまちゃんの家で奥様のすばらしい手料理を食べ、お子さんたちの立派な成長ぶりを見てとても感動した。小さい頃から知っている人たちが、どんどんしっかりしていくのを見ると、人間ってすごいなと思う。 そしてこの事件でやっぱり「今度の小説、書いてよかった」と思った。自分で今ひとつ好きになれない小説だったが、まさにこういう、人生についての考え方のことを書いた小説だったからだ。おかげでちょっとあの作品を好きになった。

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まるで恋人からの電話のようにマーちゃんの電話を待つ。「書き直しになったらどうしよう〜、窓から逃げてしまいたい」と思いつつ。 不安を抱えつつ、英会話とフラへ。 疲れ果てているのでどっちもフラフラだった。カイマナヒラ〜と歌いつつ、こけたりして。自分でもおかしかった。 夜マーちゃんからメールが入っている。大丈夫だった。この瞬間、いつも、編集の人の偉大さを感じる。自分でどんなによしとしても、小説は自分だけが読んでわかってもだめなのだから。あまりに突きつめて書いていると、いいのか悪いのか自分でもわからなくなるし、最後の方は全文丸暗記状態だから、もう内容がどうこうというものでもなくなってくる。そして、読んだときの編集の人の言葉・・・たとえそれが「気に入らなかった」というものであっても、そこにその人の全てがあらわれる。納得のいくことを言い合えなければ、いっしょに仕事をできない。だからお互いに真剣勝負の時だ。ほめられたからではなく、マーちゃんはさすがだな、といつも思う。彼が大丈夫と言えば、それはたとえ愚作でも、大丈夫なのだ。そしてあの「ちゃんと書いたのはわかっている」というずっしりした態度。彼に届けばもう、自分は手を放してもいいと初めて安心する。やっと、心底眠った。もう丸暗記からも解放される。はひ〜。 ちょっと前まで「奈良くん展覧会大変だねえ」とか思いつつ鼻くそほじってマンガとか読んでいたのに、このところ動物や出張など思わぬスケジュールの狂いによって、なんと自分が似たような境遇になってしもうた。でも、とりあえずいったん脳を休ませなくては。次の作品のために。

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原稿を持って幻冬舎へ。 提出の瞬間はいつも緊張する。そして坂元くんと合流して近所のイタリアンへ。おいしいワインを飲んでいろいろつまむ。 マーちゃんの、恐ろしい、近所でのあやまち話を聞く。坂元くんは不動産業なので「ああ、それやったら全住人の四分の三が賛成すれば、石原さんを出ていかせることはできるね、普通はそこまでようせんけどね」とさらりと言い放っていた。 疲れているので酔っていないのにくらくらする。限界って感じ。燃え尽きた。

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朝昼兼でパスタを作る。鳥ひき肉となすの。 そして武内くんのパパのお見舞いに行く。元気そうで、ベッドにすわっていた。よかった!ぐっとくるエロいものも書いてよ!と言われるが、今、書いています・・・。そうでもないか。久しぶりに笑顔を見て嬉しかった。 それから谷中、根津、上野を歩いて探索。 谷中のことならどんな裏道も知っています。懐かしい店がたくさん残っていて、切ない。毎日お父さんと買い物に行った谷中銀座を歩いた。 上野ではアメ横の守よしで、変わらずおいしいひな鳥の一口カツを食べる。これって、本当に、おいしい。柔らかく、さくっとしていて、さっぱりしてて。私には永遠のスタンダードだ。 うちのお父さんが溺れたとき、その店のおばちゃんたちは「あ、この新聞に載っている溺れた人は、うちによくひとりで来てカツを食べる人だ!」と言い合ったそうだ。いい話なのかな? そのあと時間もあったのでギャルソンでダッフルコートを買う。全然はやっていないのでダッフル好きにはつらい今シーズンだが、やっと手に入れた。 帰宅、そして、感動的なウルルンを見ながら、小説の直し一応終了。 爆発的に眠る。

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一日中仕事して、アトレで本とCDを買う。 西原先生のすごい本。なんとはなしにさくらさんの「富士山」のようなのに、すごく違う本。小学館の懐の深さを知った・・・。 そして休日にあるまじき行動、寿司を食べる。ちょっと高くてにぎりが乾いていたが、おいしかった。そして働いているお兄さんがほんとうに今時めずらしくすがすがしかった。 やけになってカラオケに行き、ヒロチンコにスガシカオなど歌ってもらう。 やっぱりストレスが・・・。でも、すごく好きだった原田真二の「愛してかんからりん」という曲があったので、嬉しかった。そしてまた徹夜の世界へ。と言っても、朝には寝ますし、もちろん仮眠もとります。

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